暗号資産の黎明期、中央集権化もこの分野で大変議論が集中した話題の1つでした。暗号資産プロジェクトは分散化を目指していたものの、ユーザーは中央集権型取引所(CEX)でしか資産を取引できませんでした。時が経つにつれ、開発者は分散型取引所(DEX)の構築に取り組み、その多くが成功を収めることになりました。当時のDEXでは、流動性の低さが主な問題となっていました。
流動性確保のために自動マーケットメーカー(AMM)を採用したUniswapのサービスが始まったことで、この状況に変化が訪れました。DEXの新たな時代が突然始まることとなり、今日の多種多様なDEXの存在につながることとなりました。このガイドでは、DEXとは何か、そしてその仕組みについて解説します。また、優れた分散型取引所も一挙紹介します。
分散型取引所とは?
分散型取引所は、中央集権型の組織ではなく、ピア・ツー・ピア(P2P)で交換を行うプラットフォームです。DEXは中央集権型プラットフォームと似ている面もあるものの、ほとんどの面で大きく異なっています。大きな違いの一つに、単一の事業者によって所有および運用されていない点が挙げられます。取引のために、ある事業者が管理するウォレットに資金を預け入れる必要はありません。つまり、ノンカストディアルな(他の誰かに資産の所有が任されていない)取引プラットフォームとなっています。
DEXはまた、取引所が採用しているものと同じブロックチェーンでのみ扱える資産のみを提供しています。ただし、クロスチェーンのDEXでは、異なるチェーンの資産も扱えます。分散型取引所はスマートコントラクトによって稼働しており、トレーダー同士をマッチングさせるオーダーブックは存在しません。代わりに、AMM、そして他のユーザーから提供される資金を用いる流動性プールを採用しています。DEXでは、手数料が大幅に低くなっており、セキュリティもより高くなっています。
今すぐ使える優良分散型取引所19選
1. Uniswap

優良分散型取引所のトップバッターは、Ethereum初そして最大級のDEXであるUniswapです。Uniswapは、資産の拡大を目指すユーザーにとって強力な選択肢となっています。同プラットフォームは非常に人気が高かく、1日の出来高は40億ドルを超えることも珍しくありません。AMM DEXであるUniswapでは、アルゴリズムにより分散化された流動性プールを採用しています。それぞれの取引ペアにおいて、最も優れた交換レートを定めることを目指したものです。ユーザーは、既存の流動性プールを利用することも、または自分自身で作成することもできます。流動性を提供するユーザー(流動性プロバイダー)は、取引手数料の一部を収益として受け取れます。同プラットフォームは分散型自律組織(DAO)により統治され、ユーザー自身がその運用を管理しています。
メリット:
400点以上のトークンの取り扱い
大規模で定評があり、実績ある取引所プラットフォーム
高い出来高
DAOによるガバナンス
ステーキングによるパッシブインカムを獲得できる
トランザクション手数料は0.1%~1%
デメリット:
法定通貨の取り扱いはない
常にインパーマネントロスのリスクがある
ガス代
2. OKX DEX
次に紹介するのは、クロスチェーンかつマルチチェーンDEXアグリゲーターとして20以上のチェーン、300以上のDEX、20万点以上の暗号資産に渡り最適なトランザクションを提供しているOKX DEXです。OKXが運営するDEXは、安全性が高くノンカストディアルな分散型そしてボーダーレスな取引プラットフォームとなっています。
OKX DEXは、シームレスな取引体験と比較的低い取引手数料を実現しています。Ethereumよりも優れた、そしてより汎用的なインフラとなることを目指しています。DApp、DEX、その他ブロックチェーンプロダクトにとって、魅力の高い選択肢となっています。

メリット:
高いセキュリティ
ノンカストディアルプラットフォーム
優れた取引レート
コールオークションメカニズムによる注文マッチング
使いやすいデザイン
分散型ガバナンス
承認不要での上場
クロスチェーンのゲートウェイ
デメリット:
一部流動性の低い暗号資産がある
注文が作成されるまで手数料が分からない
3. ApeX Pro
ApeX Proは、その柔軟性の高いAMMモデルにより、最高峰の分散型取引所として知られています。このモデルにより資本効率が改善され、現物取引のような感覚でトランザクションを実行できます。初心者にも使いやすいオーダーブックインターフェースも備えています。StarkWareのレイヤー2スケーラビリティエンジンを統合しており、これが取引所のセキュリティに寄与しています。DEXでのサービスが提供できなくなった場合でも、トレーダーは資産を取り戻せます。デリバティブ市場では、あらゆるトークンを最大20倍で取引することもできます。

メリット:
高いパフォーマンス
セキュリティとプライバシー
低い手数料
高いレバレッジ
オーダーブックモデル
デメリット:
取引できる銘柄が限られている
段階別手数料制度はない
4. Curve
Curveは、ボラティリティを警戒するトレーダーにとって最も優れたDEXの1つとなっています。Uniswap同様、CurveもAMM DEXであり、Ethereumの分散型ネットワーク所で稼働しています。一方で、独自の特徴も備えています。ネイティブトークンのCRVにより、保有者にはガバナンスにおける投票権がもたらされます。

メリット:
45点以上のトークンの取り扱い
トランザクション手数料は0.04%程度
トークン保有者が重要決定事項に投票可能
デメリット:
複雑なインターフェースのため、使いこなすには集中的な学習が必要
ガス手数料が高い
5. KyberSwap

5つ目の優良DEXは、KyberSwapです。Kyber Networkのフラッグシッププロダクトとなっています。Uniswapと比べられることが多く、同じくAMM DEXであるものの、独自の特徴も備えています。取引所プラットフォームは、複数の流動性プールで稼働しています。さらに、そのプールは他のほとんどのDEXよりも深さのあるものとなっています。この点が、DeFiアプリケーションの多くが基盤となるプロトコルとしてKyberSwapを採用している理由となっています。同プラットフォームは、流動性プロバイダーに対し、特定のペアの取引の手数料の0.3%を分配しています。流動性提供報酬と取引手数料はすべて、取引所プラットフォームのネイティブトークンであるKNCによって払われます。
メリット:
1,500点以上のトークンの取り扱い
スワップペアは数千単位で利用可能
流動性プロバイダーに0.3%の手数料提供
ステーキング、ファーミング、DAppソリューションを提供
デメリット:
法定通貨の入金取り扱いなし
モバイルアプリがない
初心者トレーダーには使い方が難しい場合がある
6. dYdX

ほとんどのDEXとは異なり、dYdXはオーダーブック型DEXとなっています。従来型の暗号資産市場での取引体験により近い感覚で利用できます。一方、独自の特徴も備えています。その1つに、ETHのロングまたはショートで投資額の5倍までのレバレッジ取引が可能です。同プラットフォームは、レンディングプラットフォームとしても知られています。クロスマージンでの貸出および借入が可能です。これにより、ユーザーはプラットフォーム上に資産を預け入れることで、不労所得を得ることもできます。取引で活発に用いられている資産では、利息も発生します。また、dYdXの出来高はUniswapに次いで2番目となっています。
メリット:
使いやすい
DEXの中で2番目に高い出来高
モバイルアプリアリ
取引手数料わずか0.1%
レバレッジ取引が可能
複数の方法でのパッシブインカム発生
デメリット:
法定通貨の入金取り扱いなし
取引の選択肢に限りあり
7. 1inch

7番目に紹介するのは、労力をかけずに暗号資産を取引できる1inchです。DEXアグリゲーターの中でも、最高峰に位置します。同プラットオームでは、各トランザクション前に複数のDEXをスキャンし、トークン購入時の手数料が最も低いものを選び出します。流動性プールではトークンをステーキングでき、1INCHトークンを獲得できます。ネイティブトークンを保有することで、投票権も得られます。
メリット:
400点以上のトークン取り扱い
トランザクション手数料無料
1INCH保有者はガバナンスに参加可能
優れた交換レート
デメリット:
1INCH外の他のDEXでトランザクション手数料が発生する場合がある
初心者トレーダーには使い方が難しい場合がある
8. Balancer

次は、同じくEthereumベースのDEXであるBalancerを紹介します。スマートコントラクトと流動性プールを用い、スピーディに取引を実行するプラットフォームです。AMMを採用しており、複数の流動性プールを提供しています。3つの種類から選び、ユーザー自らが流動性プールを作成できます。スマートプール、プライベートプール、共有型プールがあります。
メリット:
Ethereum上にあるものの、ガス手数料が発生
独自のプール作成時、複数のプールタイプを指定可能
スピーディかつ使いやすい
不労所得が発生
デメリット:
トランザクション手数料はプールオーナーによって0.0001%~10%の間で変動
9. Bancor

次は、同じく信頼性の高いDEXであるBancorを紹介します。Bancorは、2017年にEthereum上で登場した初のAMMのうちの1つです。同プラットフォームでは、自動化された流動性を備え、取引が即座に決済されます。この機能により、多くのトレーダーにとっての最高峰の分散型取引所となっています。他に、同プラットフォームのネイティブトークンであるBNTにより、スピーディかつ労力のかからない決済手続きが実現しています。ステーキングにより複数のプール利用を活用することで、インパーマネントロスを回避します。ステーキング報酬とBNTの両方から、優れた報酬が得られます。BNTと他の暗号資産を同時にステーキングした場合に最も優れた報酬が実現します。
メリット:
信頼性が高く実績豊富なプラットフォーム
インパーマネントロスからユーザーを保護
取引所手数料は変動するものの、比較的低い
デメリット:
法定通貨対応なし
資産をBancorウォレットに預け入れる必要がある
10. Slingshot

Slignshotは、手数料0%のEthereumベースのスワッププロトコルとして人気を誇っています。2020年に設立された同プラットフォームでは、暗号資産の送信、受取り、スワップが可能です。モバイルとデスクトップの両方で利用できます。複数のネットワークに対応したマルチチェーンおよびブリッジが可能です。Canto、Polygon、Arbitrum、BNBチェーン、Arbitrum Nova、Optimismなどに対応しています。
メリット:
直観的インターフェース
高度な取引ツール
複数の取引所にまたがり価格を比較できる
ストップロスおよび指値注文が可能
デメリット:
認証が必要
参加には最低入金額要件を満たす必要あり
11. CowSwap

11番目に紹介するのは、Ethereumベースのトークンの取引ができるDEXのCowSwapです。需要と供給をマッチングさせて取引を成立させます。スリッページと手数料も回避できます。ただし、ピア・ツー・ピアでのマッチが見つからない注文は、基盤となるAMMへと送られます。従ってCowSwapでは、両方のアプローチでの取引を体験することになります。あらゆるアグリゲーターと取引所にまたがるオンチェーン上の最良価格で取引を実行できます。
メリット:
完全パーミッションレス型メタDEXアグリゲーター
高いセキュリティとプライバシーで取引を保護
最大級の流動性
多彩なトークンペアの取り扱い
オフチェーン注文送信でのガス代無料取引
デメリット:
ハッキング攻撃の被害にあった経歴あり
比較的新しい取引所
12. IDEX

次は、Ethereumネットワークで稼働するIDEXです。複数の取引を同時に実行できるため、取引量が多い活発なトレーダーにとって最適なプラットフォームです。キャンセルも、ガス代無料で実行できます。また、プラットフォームでは成り行き注文と指値注文の両方が備わっています。高度な保護メカニズムにより、セキュリティも高くなっています。IDEXはCEXとDEXを活用し、取引の実行およびセキュリティの改善を実現しています。
メリット:
約26点のトークンに対応
ステーキング可能
取引キャンセル時のガス手数料無料
セキュリティ侵害のリスクが最小限
トランザクション手数料わずか0.1%
デメリット:
複雑なインターフェース
法定通貨対応なし
取引の確定にはプライベートキーでの承認が必要
13. DEX.AG

次に挙げるのは、他のDEXから流動性を集めるアグリゲーターであるDEX.AGです。流動性取得先のDEXの一部には、この記事でも取り上げているDEXが含まれています。取引実行前にこれらのプラットフォームを集積することで、最良価格が得られます。さらに、時間と労力も節約できます。
メリット:
手数料ゼロ
優れたUI
時間と労力の節約
最良価格提示
デメリット:
他DEXでの手数料が発生する場合がある
14. AirSwap

次に紹介するのは、Ethereumで稼働し、ETHでガス手数料を支払うことになるAirSwapです。他に、プラットフォームから課される手数料はありません。取引所にはネイティブトークンであるASTがあり、ERC-20の他トークンとも交換できます。入出金は瞬時に処理されるため、優れたユーザーエクスペリエンスが得られます。
メリット:
手数料ゼロ
セキュリティ侵害のリスクが最小限
複数トークンに対応
デメリット:
ピア・ツー・ピア取引は、適した取引相手が見つかった場合にのみ実行される
15. SushiSwap

SushiSwapは、暗号資産業界で最も知られたDEXのうちの1つです。Uniswapをベースに構築され、複数の理由で最高峰の分散型取引所とみなされています。ネイティブトークンであるSUSHIにより、ステーキングすることで不労所得を得られます。さらに、多彩なガバナンスの特典が得られ、市場の集中化を低減する独特のDEXアーキテクチャを備えています。
メリット:
低いトランザクション手数料
ほとんどのERC-20トークンを利用可能
高度に直感的なインターフェース
デメリット:
複雑な報酬構造
最先端テクノロジーの採用は限られる
16. PancakeSwap

次に、PancakeSwapを紹介します。Binance Smart Chain上での最大級のDEXであり、非常にコストが低い流動性プールで知られています。同プラットフォームでは、スリッページリスクが最小となっています。ノンカストディアルなDEXとして、独自の流動性ピールにより自動取引が実現します。プールは、BSC上でのスマートコントラクトにより運営されます。取引所にはネイティブトークンであるCAKEがあり、ステーキング、イールドファーミング、ガバナンスに利用されます。
メリット:
50以上のDeFiトークンに対応
低いトランザクション手数料
スリッページリスクが大幅に低減
デメリット:
インパーマネントロス発生の可能性あり
17 WX. ネットワーク

次は、WX.Networkを紹介します。以前はWavesとの名で運営されていたこのDEXは、BTCやLTCなどのデジタル資産を利用しています。また、イニシャル・コイン・オファリング機能も備えており、クラウドファンディングが実現します。インターフェースは使いやすいデザインで、ユニークなものとなっています。中央化および分散化された機能の組み合わせにより、スリッページも低減しています。
メリット:
スリッページのリスクが低い
独自ブロックチェーンを利用
超低取引手数料(0.03%)
直観的UI
複数の対応資産
デメリット:
法定通貨対応なし
規制監督下にはない
18. Xfai

次に紹介するのは、自動マーケットメーカーモデルを採用し復号した流動性プールを作成する特徴的なDEXであるXfaiです。同DEXは、トークンペアベースの一定商品マーケットメーカーアプローチではなく、オンチェーンでの定数関数型マーケットメーカー(constant function market maker、「CFMM」)スマートコントラクトシステムを採用しています。これにより、流動性の細分化の課題(流動性が複数のプラットフォームにまたがり細分化され、価格発見が難しくなること)および高いスリッページに対処することを目指しています。ErhereumとLineaチェーンの両方で稼働するXfaiは、流動性提供の特徴的な形式である「Infinity Staking」(インフィニティ・ステーキング)を提供しています。
メリット:
流動性細分化を回避しスリッページを最低限に抑えるカスタムビルド
あらゆるデジタル資産の取引が可能
一か所であらゆる資産を管理できるシンプルなダッシュボード
デメリット:
AMMからのインパーマネントロスのリスク
比較的高い0.4%のスワップ手数料
19. ParaSwap

最後に紹介するのは、トレーダーとDAppに最善価格、高い流動性、高速トランザクションを提供することを目指すマルチチェーンDeFiアグリゲーターとして人気の高いParaSwapです。ParaSwapは、DEXとレンディングプロトコルの流動性を単一かつ安全なインターフェースとAPI集積し、直観的なユーザビリティを実現しています。同プラットフォームでは、イールドオプティマイザー、独立したスマートコントラクト監査、APIの機能性を備えた高度なチャートにより、最小限の労力で最も有利な価格を見つけられます。
メリット:
アグリゲーター機能により最善価格が提供される
細分化された流動性プールへのシンプルなアクセス
高い流動性
デメリット:
直接暗号資産を買うことはできない
法定通貨では取引できない
DEXで暗号資産を取引すべき?
DEXは、暗号資産の取引において大きな存在感を持つに至りました。ノンカストディアルな性質により、取引中の資産が危険にさらされることはありません。トレードは、スマートコントラクトにより瞬時に完結します。とは言え、最高峰の分散型取引所でさえ、それぞれデメリットがあります。利用前には、どのプラットフォームであれ十分な調査を心掛けてください。
よくある質問
最も優れた分散型取引所は?
DEXにはそれぞれ強みと弱みがあるため、最も優れたものがどれか言い切ることはできません。利用するトレーダーにとって何が重要かに拠ります。
最大規模のDEXはどこ?
暗号資産業界で最大のDEXは、EthereumベースのUniswapとなっています。Uniswapは出来高が最も高く、この指標に基づき最大級のDEXとしています。
バイナンスは分散型取引所に該当する?
バイナンスは、分散型取引所ではありません。完全に中央集権型の暗号資産取引所であり、他のプラットフォーム同様、カストディ型のサービスを提供しています。
コインベースは分散型取引所に該当する?
コインベースも、DEXではありません。バイナンス同様、コインベースも規制監督下にある中央集権型プラットフォームです。同取引所は、アメリカで規制監督下にある最大級の取引所となっています。